ネコちゃんの健康管理
ネコちゃんにいつまでも健康でいてもらうためには、日常生活をしっかり観察して、変化があった時にはすぐに対処してあげることが大切です。
高齢のネコちゃんの場合は「シニア科」のページもご覧ください。
お手入れ習慣を身につけましょう
ネコちゃんの中には身体を触られることを嫌がる子も多くいます。若い頃からスキンシップを兼ねてお手入れなどを行う中で、全身を触れられることに慣れさせていきましょう。
1.全身に異常がないかチェック
スキンシップを兼ねて全身を触って細かくチェックしたり、普段の行動を観察して異常がないか確認をしましょう。
- 元気(動き、歩き方、鳴き方など)
- 食欲(食べる量)
- 飲水(水を飲む量)
- 排便(回数・状態)
- 排尿(回数)
- 被毛や皮膚の異常(傷、痛み、しこり)
- 耳、目、鼻の状態の観察
- 口の中のにおい(嫌な臭いは異常のサイン)
2.毎日の歯磨きを
猫は虫歯にはなりませんが、歯周病にはなりやすい特徴があります。
歯周病は口腔内だけでなく心疾患など全身の健康問題につながります。
歯ブラシを嫌がる場合は歯磨きジェルをつけたガーゼ等でふくことも効果があります。
3.耳掃除
猫の耳の状態は個体差が大きいので、ブラッシングのときに、ついでに耳の状態を観察するクセをつけておいてください。
ご家庭での耳掃除は水や耳用クリーナーでぬらしたコットンでぬぐうだけで、大体の汚れはとることができます。
綿棒を使用すると傷がついてしまったり、痛がって嫌がるようになります。
4.痛みのサインについて
猫は症状を隠そうとしがちです。また、痛みを行動で訴えることがあります。
性格により異なりますが、いつもと違うと感じたら、その他の症状や原因となるものがないかよく観察し、ご相談ください。
- 落ち着かない
- 攻撃的になる
- うずくまる
- 特定の部位をしきりに舐める
- 呼吸が早い
- 隠れる
- 食欲がなくなる
基本となる予防を継続的に行いましょう
1.ワクチン接種 ※当院のワクチン接種率は100%です!
3種類または5種類の病気を予防できるワクチンをご用意しています。
野良猫の中には猫エイズなどに感染しているネコちゃんも多くいます。そんなネコちゃんと外でケンカや交尾をしたりすることで、飼い主様の知らないうちに感染症に感染していることもあります。
そのため当院では、白血病も予防できる5種ワクチンを推奨しています。
ネコちゃんが猫エイズ、白血病に感染した場合
発症しないよう定期的な治療が大切です。インターフェロンを用いた治療も積極的に行っていますので、ご相談く ださい。
3種 | 5種 | |
---|---|---|
猫ウイルス性鼻気管炎 (猫の鼻風邪) |
● | ● |
猫カリシウイルス感染症 (猫のインフルエンザ) |
● | ● |
猫汎白血球減少症 | – | ● |
猫白血病ウィルス感染症 | – | ● |
猫クラミジア感染症 | – | ● |
※ワクチンの摂取にはメリット、デメリットもありますので、獣医師と相談してから接種いたします。
2.ノミ・ダニ予防
ネコちゃんにノミ・ダニが寄生すると皮膚炎や病気を引き起こします。また、ネコちゃんに付いたノミ・ダニは飼主様も刺します。
「今ついていないから」ではなくて、ノミダニが付く前に「付かないように」してあげてください。
※熊本県はノミダニの多発地帯と言われています。
人にも感染する怖い感染症の1つのSFTSは、ネコちゃんからネコちゃんだけでなく、ネコちゃんから人に感染して例も報告されています。ネコちゃんだけでなく、人を守るためにも予防をしっかり行ってあげてください。
※治療に対応できるように薬も準備していますので、心配な症状がある場合は、ご相談ください。
3.フェラリア予防
春になり温かくなってくると、蚊が出てきます。
フィラリア症は蚊が媒介して起こる犬ではメジャーな病気ですが、実はネコちゃんも感染することがあります。
ネコちゃんは感染すると、治療方法がないのが現状です。予防すれば100%予防できる病気でもあります。
予防できる病気は未然に防いで、ネコちゃんを健康でいさせてあげてください。
※当院では予防を積極的におすすめしています。猫エイズ・白血病と同様に、病気にならない猫ちゃんの体つくりに取り組んでします。
4.肥満防止
多くの飼い主様は、自分のペットが肥満であることに気づいていません。
まるまるとしているネコちゃんは可愛いですが、肥満が引き起こす病気が多いのも現実です。
肥満は病気のリスクとなることも十分に理解していただき、ダイエットに励んでいただくことをお勧めします。
肥満の原因を考えよう
ご飯・おやつのあげすぎ
ネコちゃんの体は、年齢や状態によって必要な栄養素が異なります。そのため、適正量を超える栄養分は脂肪になって体内に蓄積されやすくなります。
運動不足
室内飼いのネコちゃんは特に注意が必要です。
室内に運動用の器具を置いてあげたり、飼主さんと遊んだり、日常的に体を動かせられる環境を用意してあげることが大切です。
その他
遺伝や病気によって太りやすい体質も子もいます。また、避妊・去勢手術の後は基礎代謝が減って太りやすくなることもあります。
体質や状況に合わせた食事をあげることも検討してあげましょう。
5.迷子にならないように
室内で飼っているネコちゃんでも、脱走して迷子になるおそれもあるなど、ネコちゃんが迷子になってしまうことがあります。
迷子になってしまった時の対策も行うことをお勧めします。
迷子対策としてできること
- 首輪などに迷子札を付けておきましょう。
- マイクロチップ をお勧めしています。
迷子になってしまったら
いなくなった場所を探す
室内飼いのネコちゃんが迷子になった場合は、知らない場所におびえ、物陰に隠れていることが多いようです。まずは近くの物陰をしっかりと探してあげましょう。
また、探す時はキャリーバッグやネコちゃんの好きな食べ物などを持っていくと良いでしょう。
関係機関に連絡する
周辺を探して見つからない場合には、どこかに保護されていることも考えられます。
地域の保健所や動物愛護センター、警察などに問合せしてみましょう。
年齢ステージごとに行うこと
年齢ステージ | 予防・検査・健診など |
---|---|
生後6か月まで |
|
~3歳程度まで |
|
~10歳程度まで |
|
10歳以上 |
|
ネコちゃんにお勧めしている検査
1.ウイルス検査
ウイルス検査では、
- 猫免疫不全ウイルス(FIV)
- 猫白血病ウイルス(Felv)
という2つの感染症を調べることができます。
感染の有無を定期的に調べておくことをお勧めしています。1ml程度の採血をするだけで検査が可能ですので、小さな子猫でも安心して検査を受けていただけます。
あてはまる猫ちゃんは検査をうけましょう
- 外に遊びに行く子(少しでも)
- 過去の飼育環境がわからない子
- 昔、ノラ猫だった子
- 多頭飼いの猫ちゃん達の中に1頭でもこれらに当てはまる子がいる場合
- お母さん猫がノラ猫の子
2.尿検査
特にネコちゃんは泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。
そのため最低年に1回は検査を行っていただきたいと考えています。
尿検査では、腎臓・肝臓・胆嚢などの内臓機能、糖尿病の状態、結石の有無についても調べることができます。ネコちゃんの健康状態を知る、最も簡単な方法ともいえます。
尿検査を行う際はできる限り新鮮な尿が必要です。病院へお持ちいただく際は直前に採れた尿をご持参ください。
尿検査で分かること
尿PH値 | 尿路結石・細菌感染など |
---|---|
尿ビリルビン | 肝臓疾患・胆道疾患・黄疸など |
尿糖 | 糖尿病・急性膵炎・クッシング症候群など |
尿せん血 | 膀胱炎・尿道炎・尿路結石・前立腺炎・腎炎など |
尿たんぱく | 腎臓疾患・尿路の異常など |
尿比重 | 腎臓疾患・尿崩症など |
健康診断について
1.血液検査
健康診断の基本となる検査です。
肝臓・腎臓などの内臓機能の状態や、心臓疾患、コレステロール値、糖尿病の状態など様々な健康状態を調べることができます。
6歳程度までは年1回、7歳を超えてくると年2回以上の検査をお勧めしています。
★当院では、2月、8月に健康診断キャンペーンを行っています。ぜひご利用ください。
2.画像診断(レントゲン検査・エコー検査など)
体の内部を視覚的にみる検査です。血液検査と一緒に行う事で身体の状態を詳しく調べることができます。
当院では、月に1回画像診断のセミナーを行っており、画像診断の技術力の向上を目指しています。
3.尿検査
尿検査では、腎臓・肝臓・胆嚢などの内臓機能、糖尿病の状態、結石の有無についても調べることができます。ネコちゃんの健康状態を知る、最も簡単な方法ともいえます。
尿検査を行う際はできる限り新鮮な尿が必要です。病院へお持ちいただく際は直前に採れた尿をご持参ください。
4.便検査
便検査では、消化器系の状態や異常、細菌の状態や寄生虫の有無などを調べることができます。
便の見た目をチェックし、色・臭い・形・形状を調べたり、顕微鏡で詳細に調べることもあります。
尿検査と同じように簡単にワンちゃんの健康状態を知ることができる検査です。
5.その他の検査
その他にも、心電図検査、内視鏡検査、歯科の検診、眼科の検診、皮膚の健診など、目的に応じた様々な健診を行い、ネコちゃんの症状などによって最適な検査もご提案させていただきます。
病院への連れて行き方
キャリーバッグに入れてお連れ下さい
逃走防止・猫ちゃんの過ごしやすさを考慮して、キャリーバッグに入れてご来院ください。
網目の粗い洗濯ネットを活用
キャリーが苦手、怒る子は、洗濯ネット(網目が粗いもの)に入れてお連れ下さい。
電車でお越しの場合
猫ちゃんは怖がりな生き物です。
目隠しの毛布などをかけてあげましょう。
お車でお越しの場合
車内で安全に過ごせるように、キャリーバッグはシートベルトでしっかり固定をしましょう。写真のようにすると安心です。